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大阪高等裁判所 昭和43年(ネ)939号 判決 1970年8月29日

控訴人・被告 秦薬品株式会社

訴訟代理人 白畠正雄 外一名

被控訴人・原告 株式会社日証

訴訟代理人 高室直人 外四名

主文

原判決中控訴人に対し金四〇〇、〇〇〇円とこれに対する昭和四一年七月九日から完済まで年六分の割合による金員の支払を命じた部分を取消す。

被控訴人の右金員の支払を求める請求はこれを棄却する。

その余の部分に対する控訴はこれを棄却する。

訴訟費用は第一、二審を通じこれを五分し、その二を被控訴人の、その三を控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決中控訴人に関する部分を取消す。被控訴人の控訴人に対する請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用、認否は、被控訴代理人が、請求原因並びに控訴人の抗弁に対する答弁として、「(2) の手形につき、株式会社パラセイ本舗は、昭和四〇年一二月二五日、金額四〇〇、〇〇〇円、満期昭和四一年五月六日、支払地京都市、支払場所株式会社第一銀行四条支店、振出地大阪市、支払人白地の自己指図の為替手形一通を振出し、同日、控訴人住所において引受呈示をなし、その引受を得て、これを被控訴人に裏書譲渡し被控訴人は現にその所持人であるところ、被控訴人は、その二、三日後右白地を誤つて「株式会社パラセイ本舗」と補充したが、昭和四一年六月下旬、これを「秦薬品株式会社」と訂正補充した。右訂正補充は、所持人たる被控訴人の補充権の範囲に属し、有効であるけれども、仮に、無効であるとしても、右訂正補充は、株式会社パラセイ本舗、控訴人、被控訴人の三者の合意に基いてなされたものであるから、控訴人は、引受人として手形債務を負担すべきものである。(1) 、(3) の手形について、被控訴人が被裏書人より遡求を受け、償還による受戻しをした日時は満期の翌日であり、その償還金額は各手形金額と同額である。被控訴人の本件手形取得は手形の割引即ち売買によるものであつて、手形貸付ではないから控訴人主張の利息制限法違反の問題は生じない。」と附加し、控訴代理人は、答弁並びに抗弁として、「(2) の手形につき、被控訴人の主張事実のうち、株式会社パラセイ本舗が支払人白地との点を除き被控訴人主張の如き為替手形一通を振出し、控訴人の引受を得たこと、被控訴人が右手形を裏書譲渡を受け現にその所持人であることは認めるが、その余の事実は否認する。振出人株式会社パラセイ本舗は、当初から支払人欄に「株式会社パラセイ本舗」と記載して振出したものである。(1) 、(3) の手形につき被控訴人が償還請求に応じたこと、およびその日時は認めるが、金額を否認する。」「被控訴人は、控訴人の本件手形の引受が商法第二六五条に違背することを知りながら手形を取得した悪意の第三者であるから、控訴人は右引受の無効を以て被控訴人に対抗することができる。」「斉藤重義は、被控訴人に対し利息制限法を超過して合計金六九二、八四九円を支払つているから、被控訴人に対し右金員の返還請求権を有するものなるところ、控訴人は、斉藤に対し貸金債権一、六〇〇、〇〇〇円を有するから、右債権を保全するため斉藤に代位して、本訴において、斉藤の被控訴人に対する右六九二、八四九円の返還債権を以て被控訴人の控訴人に対する本件手形金債権を対等額において相殺する。」と附加し、控訴代理人が甲第一〇号証を提出し、被控訴代理人が当審における証人上野伸夫の証言を援用し、甲第一〇号証の成立を認めると附加したほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。

理由

一、(2) の手形について

株式会社パラセイ本舗が、支払人白地との点を除き、被控訴人主張の如き手形要件を備えた為替手形一通を振出し、控訴人が引受をなし、被控訴人が株式会社パラセイ本舗から裏書譲渡を受け現にその所持人であることは当事者間に争いがない。

被控訴人は、右手形は、もともと支払人白地のままで振出された白地手形であつたと主張するけれども後記措信し難い原審ならびに当審証人上野伸夫の証言を除いて、これを認めるに足りる証拠はない。却つて、弁論の全趣旨から(2) の手形であることにつき当事者間に争いのない甲第一号証の二によると、その支払人欄は、「株式会社パラセイ本舗」(パラセイなる部分は抹消によつて不鮮明であるけれども、不鮮明部分が「パラセイ」と記載されていることは原審並びに当審における証人上野伸夫の証言によつて認める)なる記載が抹消されて、「秦薬品株式会社」と訂正されていること、右抹消部分と訂正部分は同一人の筆跡であることは一見明白である。しかして、当審における証人上野伸夫の証言によると、右抹消訂正は、本件訴提起後振出人である株式会社パラセイ本舗の代表取締役斉藤重義によつて行われたことが認められ、これに反する証拠はない。そうすると、抹消部分「株式会社パラセイ本舗」は、右斉藤によつて記載されたものであることは明らかである。そこで、右斉藤の記載時期を考えるに、本件記録によると、被控訴人は、昭和四一年六月三日本件訴を提起し、その訴状請求原因二項には、株式会社パラセイ本舗は、昭和四〇年一二月二五日、(2) の手形を自己宛、自己指図で振出し、同日控訴人がこれが引受けをなした旨記載されていることが認められる。そして、控訴人の答弁書の答弁二項には、訴状請求原因二項の事実を認める旨の記載があり、右訴状及び答弁書は、昭和四一年六月二三日の第一回口頭弁論期日においていずれも陳述されていることが認められる。そうすると、訴訟の右段階においては、被控訴人は、支払人欄には「株式会社パラセイ本舗」なる記載が振出の当初から記載されていたことを主張し、控訴人もこれを認めていたことになる。ところが、被控訴人は、昭和四一年七月七日付準備書面により右主張を撤回して、(2) の手形は、振出人株式会社パラセイにより支払人白地で、自己指図で振出され、控訴人により引受がなされ、その後、被控訴人が白地を補充するに当り誤つて「株式会社パラセイ本舗」と記入したが、後右誤記を抹消して「秦薬品株式会社」と訂正補充した旨の主張をなしたが、右主張の撤回、変更をなすに至つた理由については何らの事情は述べられておらず、右準備書面に対する昭和四一年七月一六日付控訴人準備書面には、右変更された主張事実を否認する旨の記載があり、被控訴人の七月七日付準備書面及び控訴人の七月一六日準備書面は、昭和四一年九月二〇日の第四回口頭弁論において陳述され、その後変更された右主張のままで弁論が進行して一七回の口頭弁論期日が開かれ昭和四三年五月二八日言渡の原審判決に至つていることが認められる。右認定の被控訴人の弁論の全趣旨から考えると、(2) の手形は、振出の当初斉藤によつて支払人欄に「株式会社パラセイ本舗」と記載されたものと認めるのが相当であり、右認定に反する原審ならびに当審における証人上野伸夫の証言は採用できない。

そうすると、控訴人のなした引受は、支払人にあらざる者のなした引受であつて、無効であることは論をまたない(最高裁昭四四(オ)第七一号、昭四四・四・一五、第三小判決、金融商事判例一七三号九頁参照)。

被控訴人は、仮定主張として、前記訂正補充は、株式会社パラセイ本舗、控訴人、被控訴人の三者合意の下になされたものであるから、控訴人は、引受人として手形債務を負担する旨主張するけれども、当審における証人上野伸夫の証言によればかゝる合意はなかつたものと認定することができる。尤も、原審における控訴会社代表者本人尋問の結果中「この支払人欄を訂正してありますが、それは斉藤が横判の判を貸してくれといつたが当時私方で横判を使用していなかつたのでないといつたら斉藤が書いたのです」なる供述があり、これによると、右訂正補充につき、控訴会社代表者は、これを知つていたのではないかとの疑いが生じるけれども、当審における証人上野伸夫は「株式会社パラセイ本舗の訂正印は斉藤が被控訴会社に来て押捺したものであり被控訴会社代表者は右訂正に関与していない」旨証言しているのと対比するとき、右控訴会社代表者本人の供述とてもこれのみでは被控訴人主張り合意を認定するには不十分であり、のみならず、前段認定のとおり右訂正補充は本件訴提起後なされたものであるところ、凡そ、訴提起後、被告が原告の訴を有利に導くが如き合意をすることは、特段の事情のない限りあり得ないことであり、殊に為替手形金請求訴訟において、これを争つている引受人たる控訴会社が当該手形の支払人欄に他人の記名の記載のある場合、引受人に符合するが如き訂正補充をなすことに同意することはないと考えるのが相当である。そして、本件において、右特段の事情の認めるべきものはないから、被控訴人の右主張は理由がない。

右の通りであるから、控訴人は、(2) の手形につき手形債務を負担するものではない。

二、(1) 、(3) の手形について

被控訴人主張の請求原因事実は、償還金額の点を除き、当事者間に争いがなく、償還金額が被控訴人主張の通りであることは、当審における証人上野伸夫の証言によつてこれを認める。

三、(1) 、(3) の手形についての抗弁について

(一)  控訴人の手形引受について取締役会の承認がないとの抗弁

成立に争いのない乙第一号証、乙第八号証の二、三、原審における控訴会社代表者本人尋問の結果により成立を認め得る乙第二号証、同号証と同様の署名捺印があることから成立を認め得る乙第三号証並びに原審における控訴会社代表者本人尋問の結果によれば、控訴会社が手形引受をなした当時斉藤重義は、控訴会社の取締役であり、かつ(1) の手形の振出人である美津屋化学工業株式会社および(3) の手形の振出人である株式会社パラセイ本舗の代表取締役であつたこと並びに控訴会社が右各手形の引受をなすにつき控訴会社の取締役会の承認を得なかつかことを認めることができ、これに反する証拠はない。前掲乙第二号証、原審における控訴会社代表者本人尋問の結果によれば、控訴会社代表取締役秦富春は、かねてから斉藤の懇請により同人の主宰する右会社振出の為替手形に控訴会社が引受をなすことにより、同会社の融資に便宜を与えてきたものであるが、(1) 、(3) の手形も右の趣旨によるものであつたことが認められる。

株式会社の代表取締役が、会社を代表し自己が取締役である他の株式会社を支払人とする為替手形を自己指図で振出し、ついで支払人会社が振出人であるとともに所持人である会社の求めに応じて、その手形に引受行為をするのは、一面振出人に対する関係においてはその支払の委託に応ずるものであるとともに、他面所持人に対する関係においては手形上の債務負担の意思表示を同人に対してなすものであり、いずれの点よりみても支払人会社の取締役が、第三者たる振出人兼所持人会社のためにこれを代表して支払人会社と取引をなしたものであり、特段の事由なき限り右取引は利益相反行為として正しく商法二六五条の規定する直接取引にあたるものというべく(大判、昭四・九・二一、法律新聞三〇四七号一五頁同大一三・九・二四、民集三、四三三頁同大一五・一・三〇、民集五、七七頁)、したがつて支払人会社の引受は取締役会の承認がない以上無権代理行為として無効であるといわなければならない。

いまこれを本件についてみるに訴外美津屋化学工業株式会社および同株式会社パラセイ本舗の各代表取締役であつた斉藤重義が、同会社を各代表して自己が取締役であつた控訴会社を支払人とする前記(1) (3) の為替手形を自己指図で各振出し、ついで支払人である控訴会社が右手形の各引受行為をしたものであることは、前認定のとおりであり、右引受行為が手形の振出人兼受取人として手形を所持する各訴外会社の代表取締役斉藤の求めに応じてなされたものであることは前認定の如く本件手形がいずれも被控訴人からの融資を目的として振出された融通手形であること、原審における控訴会社代表者秦富春本人の供述ならびに弁論の全趣旨(本件手形の各引受行為が訴外会社の求めに応じてなされたものであることは、被控訴人の自陳するところである等)によつて明らかであるから、前記説示に照らして本件引受行為は控訴会社の取締役である斉藤が第三者たる訴外会社のためにこれを代表して、控訴会社となした取引であり、この取引につき控訴会社の取締役会の承認を得ていないこと前記のとおりであれば、右引受はいずれも控訴会社の代表者秦富春の無権代理行為として無効であるといわなければならない。

被控訴人は引受行為は単独行為であるから、前記法条所定の取引に該当しないと主張するが、単独行為でも、合意の形でなされる場合は勿論、そうでなくても、同法条所定の取締役または第三者に権利の発生、消滅等の法律効果を生ぜしめる行為は同法条の取引から除外すべき根拠がないし、またこれを除外することは実際的にも不当な結果を生ずることは、会社が取締役の債務を免除する事例に徴しても明らかである。しかのみならず、引受自体は引受人の単独行為であるにしても、引受のための手形呈示に応じ、引受の署名をした上、これを呈示者に返還して始めて引受が完成し、これによつて手形所持人が引受人に対する権利を取得するのであるが、手形呈示者が本件の如く、手形所持人(受取人)兼振出人である訴外会社の代表者斉藤であるときは、あたかも会社が取締役またはそれの代表する会社に宛て約束手形を振出す場合と同様右の引受行為が前記法条の直接取引にあたることは多く論ずるまでもなく明らかである。

さらに被控訴人は右法条の規定は手形行為には適用がないと主張するが、手形行為者は手形行為によつて原因関係とは別の新な債務を負担し、しかも手形債務については抗弁の遮断、挙証責任の転換、不渡処分の危険等、手形特有の効力が付与されているのであるから、手形行為を以て原因関係たる取引の履行手段に過ぎないものとして、利益相反性ひいては右法案の適用を否定する見解は採用し難い。

しかしながら、前記法条は会社保護のため同条違反の取引を以て無効とするものであるが、この無効を以て善意の第三者に対抗できるものとするときは、会社内部の事情のため取引の安全が害せられ妥当性を欠くところから、両者の調整が問題とせられ、判例(最判、昭四三・一二・二五集二二、一三、三五一一)は同条違反の取引は取締役と会社との間に直接成立する取引のみならず、取締役が会社を代表して自己のためにした第三者との間接取引をも含むとするとともに、前者の直接取引については、右取締役に対して無効を主張することができるが、後者の間接取引については、右第三者が取締役会の承認を受けていなかつかことについて悪意であるときに限り、その無効を主張することができると判示している。もつともこの判例は、直接取引たると間接取引たるを問わず、その取引の目的物がその後転々第三者に移転される等その物につき利害関係をもつ第三者が出現した場合について何ら判示するところはないけれども、右判例の趣旨を推し進め、右第三者が悪意であるときに限り、その無効を対抗することができるものと解するのが相当である。しかのみならず、手形の如き極めて流通度の高い取引につき、同法条違反を以て手形行為の効力発生を妨げる物的抗弁とし、手形権利者の善意、悪意を問わず、そのいずれに対しても無効を主張しうるものとなすことは、取引の安全を生命とする手形法の趣旨に照らしてとうてい採ることができない。民法上の意思表示の瑕疵に関する規定、たとえば詐欺の如く善意の第三者にその取消を対抗できないものは勿論、錯誤、強迫の如くその無効あるいは取消を以て第三者に対抗できるものについても、これがそのまゝ手形行為に適用されることはなく、手形法上の人的抗弁として、同法一七条によつて規律されるものと解するのが相当であり、またこの見解はつとに判例の採るところであるから(詐欺につき最判昭二五・二・一〇、民集四巻、二号、二三頁、強迫につき最判昭二六・一〇・一九、民集五巻一一号六一二頁錯誤につき最判昭二九・三・九、判例タイムス四〇号一五頁。)、会社と取締役間の利益相反行為に関する前記法条違反の手形行為についても右の見解を推し進めて、同法条違反による無効を以て人的抗弁事由となし、手形法一七条に従い、会社は右無効を以て善意の第三者に対抗することはできず、ただ第三者が害意の手形取得者であるとき即ち取締役会の承認を受けなかつたことを知りながらあえて手形を取得したものであることを主張、立証(悪意が立証されたときは害意は推定される。)して始めて、その無効をその第三者に主張しうるに過ぎないものと解するのが相当である。

以上の次第であつて、結局本件においては、前記訴外会社より(1) 、(3) の手形を裏書によつて取得した被控訴人が害意の取得者であつたことを肯定するに足る十分な証拠がないから、控訴人の前記抗弁はこれを採用するに由なきものといわなければならない。

(二)  利息制限法超過利息の手形元本充当に関する抗弁

控訴人は前記訴外会社から被控訴人に対してなされた本件手形の裏書譲渡は、訴外会社が被控訴人より融通を受けた貸付金の支払確保のためであつて、いわゆる手形貸付に属し手形の割引でないから、割引料名義で控除された制限利息超過の金員は本件手形元本に充当されるべきであると主張するのであるが、本件手形が手形貸付として授受された事実を認めるに足る証拠はない。

もつとも中小企業の金融業者の金融取引においては手形貸付と手形割引とは厳格に区別されていない事例が往々あり、手形割引と称されながら手形貸付である場合もないではないが、本件においては手形に見合う借用証書は勿論金融業者たる被控訴人作成の貸付帳簿の存在を窺知しうる資料はないし、また本件手形は被控訴人において訴外会社から取得後他に裏書譲渡され再割引の外観を呈しているほか、本件手形以外に訴外会社が被控訴人に裏書譲渡した手形をみてもその大部分は右と同様であることは、成立に争いのない乙第七号証の一ないし三、五、六、八、一〇、一一、一二、一四によつて明らかであり、これらの事実は被控訴人が割引依頼者たる訴外会社の資産信用よりも、控訴会社の引受けた手形の実質的価値に着目して本件手形を取得したものであることを物語る資料であり、本件手形は手形貸付に供せられたというよりは手形の売買即ち割引に供せられた観が強い。そうであるから、本件手形が手形貸付に供せられたものであることを前提とする控訴人の抗弁は採ることができない。

(三)  相殺の抗弁

控訴人が斉藤重義に代位して相殺に供しようとする自働債権は斉藤の被控訴人に対する債権であるのに対し、受働債権たる本件手形上の債権は被控訴人の控訴人に対する債権であつて、斉藤に対する債権でなく、債権者、債務者が互に対立する債権を有する場合にあたらないから、これを要件とする一方的な相殺は許されない。したがつて控訴人の相殺の抗弁はその主張自体失当であるといわなければならない。

四、以上の説示によれば、(2) の手形については、控訴人は、手形債務を負わないから、この部分に対する控訴は理由があり、これを認容した原判決は失当であるからこれを取消して、被控訴人の請求を棄却し、(1) 、(3) の手形については控訴人は、被控訴人に対し各手形金に相当する償還金及びこれらに対する償還の日の後である本件訴状送達の日の翌日であること記録上明らかである昭和四一年六月一二日以降完済まで年六分の割合による法定利息の支払義務があるから、これを認容した原判決は相当であり、この部分に関する控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条第九二条を適用して主文の通り判決する。

(裁判長判事 金田宇佐夫 判事 西山要 判事 中川臣朗)

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